社用車として法人で車を購入するときの流れと注意点
法人が車を契約する時の流れとポイント
事業用に車が必要な場合、法人名義での契約が可能です。法人名義で車を所有することは事業主にとって様々なメリットがありますが、その契約の流れや必要な書類はどのようなものでしょうか。以下では、法人契約で車を利用する上での事前準備や必要書類について解説します。
契約する車の条件決定
社用車の導入をする際には、自社の状況を鑑みて、どのような車を契約するのがいいのか、各種の条件を決定する必要があります。
まずは何のために車を利用したいのか、事業における車利用の目的や用途を明確にすることで、乗車定員や車のタイプなどが大まかに絞り込めるでしょう。そうすれば自然と、その車の契約や維持に必要な経費も浮かび上がってくるはずです。
さらに、利用する車を新車にするか、中古車にするかも大きなポイントです。後述のように、減価償却における法定耐用年数は新車と中古車で異なります。社用車の導入に当たっては、様々な観点から十分な検討を行うことが重要です。
契約先ディーラーの決定
社用車の利用に当たっては、契約先のディーラーの選択も重要です。自動車ディーラーは社用車を契約する際はもちろん、後々に車を売却することになった際にも大きく関与します。契約時点で将来的な売却の可能性も考えて、価格の落ちにくい車を紹介してもらうことにも一考の価値があるでしょう。
また、ディーラーには、それぞれ異なった特徴があります。自動車メーカーが直接運営しているディーラーならば、価格設定も含めて安定した水準のサービスが期待できますし、地域に密着した地場資本のディーラーならば、整備や車検をはじめとしたアフターサービスなどに独自の強みや特徴を持っているかもしれません。数あるディーラーの中で国産ブランドであるレクサスは、特に法人契約の割合が非常に高く、自社のニーズに合った優良な提案ができるディーラーが多いことが特徴です。
契約時の必要書類
さて、法人名義で車を契約する際には、どのような書類を用意する必要があるのでしょうか。
軽自動車と普通自動車で必要な書類が変わりますので、利用する車の車種に合わせて必要書類を揃えてください。
まず、軽自動車の場合に必要なのは、(1)代表者の実印または署名、(2) 商業登記簿謄本(または抄本)、登記事項証明書、印鑑証明書の3点の中のいずれかひとつです。
他方で、普通車の場合に必要なのは、(a)代表者の実印ないしは認印、(b)発行後3ヶ月以内の印鑑証明書、(c)発行後概ね1ヶ月以内の自動車保管場所証明書、すなわち車庫証明です。
また、ディーラーでローンを組む場合は別途、銀行の届出印や、通帳などの口座番号が必要となります。必要な書類など、手続きについて不明な点があれば、取引先のディーラーに確認するといいでしょう。
法人で車を契約するメリット
車を契約する際、法人名義と個人名義ではどのような点が異なるのでしょうか。以下では、法人名義で車を契約するメリットについて解説します。
車関連の出費を必要経費にできる
法人名義で車を契約するメリットとして、まず特筆すべきポイントとしては、車の購入や維持などに関する出費を必要経費にできることです。車を所有するためには、購入時の車両代金をはじめ、自動車税(種別割)、自動車重量税、購入時に支払う消費税のような各種の税金、そして自賠責保険料、車検代、ガソリン代といった車両の運用や維持に関する多くの出費が必要になります。個人所有の場合には、全てを車の所有者が支払う必要がありますが、法人であればこれらを事業運営において必要な経費として計上できるため、個人で負担する必要がありません。
個人で車を安価買取できる
法人名義で車を契約した場合でも、その車を事業で活用しなくなったときには、個人で買取することが可能です。この場合、買取業者と交渉して売却したり、オークションに出品したりといった手順を踏まずに社用車の処分ができます。これは法人から個人への資産移転という側面もあるため、法人と個人両者にとってメリットのあることといえます。
ただし、適正価格に比して極端に安い金額で取引すると、かえって税金の負担が増幅する可能性があります。そうしたリスクを避けるには、業者に一度買取査定を依頼するなどして、その車の時価を把握することをおすすめします。
法人で車を契約する時の注意点
法人名義で車を契約する際には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。以下では、新車か中古車かによる減価償却の違い、車種、契約タイミングなどに焦点を当てて、それぞれの注意点について解説します。
減価償却の耐用年数が新車と中古で異なる
新車の法定耐用年数は、普通車は6年間、軽自動車は4年間ですが、中古車の場合は法定の計算方法によって別途耐用年数を計算することになります。中古車、つまり耐用年数の一部が経過した普通自動車及び軽自動車の耐用年数の計算式は、「(新車購入時の耐用年数−経過年数)+経過年数×20%(1年未満切り捨て)」によって導かれます。この計算方法に照らせば、3年10ヶ月以上耐用年数が経過した普通車、いわゆる「4年落ち」と言われる普通車を契約した場合は、1年間で100%減価償却できることになります。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
経費計上できない車種がある
法人名義で車を購入しようとしても、場合によっては経費計上できない可能性があります。その車が経費として認められるかどうかの基本的なポイントは、当該車が本当に業務において必要であるか否かです。たとえば、運送会社が宅配業務において使用する車が高級車である必要性は薄いでしょう。とはいえ、同じ高級車でも、それを使用することで取引が有利になる可能性があるならば、経費計上が認められる場合もあります。
また、他に経費計上が認められない事例としては、運転記録が確認できない場合や、私用に使っていると疑われた場合などが挙げられます。こうしたリスクを避けるには、車の用途を明確に設定しておくことや、普段から車の運用管理を正確に行うことが大切です。
契約タイミングに気を付ける
先述の減価償却と関連して、法人名義で車を契約する際には、契約タイミングも重要になります。車の減価償却は1ヶ月単位で計算されます。すなわち、決算の月に法人名義で車を契約した場合、その年度は1ヶ月分のみが償却の対象になるということです。
これは逆に言えば、減価償却における費用対効果を優先的に考えた場合、社用車を契約するのにおすすめの購入月は、決算の翌月ということになります。なぜなら、次回決算期までのすべての月数が償却の対象として反映できるからです。減価償却のこの仕組みを理解しておけば、社用車の契約タイミングを検討する際の基準のひとつとして役立てられるでしょう。
まとめ
ここでは、法人名義で車を購入する際の流れやそのメリット、注意点などについて解説しました。法人として車を購入する際には、自社の業務にとってどのような車が最適なのか明確に見極め、減価償却の耐用年数や将来的な売却も含めて、先々までの費用対効果を見据えて選択することが大切です。
これらのことを踏まえた上でならば、社用車の購入は事業主にとって非常にメリットの大きなものになるでしょう。ここで解説したことを参考に、ぜひ社用車の購入をご検討ください。