新車と中古車の減価償却の違いと経費計上の注意点を解説 【税理士に聞く】

個人事業者や法人の皆さまが事業のために用いる車を取得し、その車を購入するのにかかった費用を年度末に経費として計上しようとした時、税法によって定められた方法でその金額を計算することになります。この記事では、その金額を計算する方法を紹介したうえで、新車や中古車といった入手手段の違いにより、その費用の取り扱いに違いが現れるのかといった疑問についても高崎文秀税理士に解説いただきます。
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経営者・個人事業主対象 法人経費で検討するレクサス経営者・個人事業主対象 法人経費で検討するレクサス

車の減価償却計算は3種類

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取得した車の減価償却費は、「定額法」「定率法」「リース期間定額法」という3種類のいずれかの方法により、算出することになります。まず、それぞれの計算方法についてみていきましょう。

定額法

「定額法」とは、取得した資産の法定耐用年数の期間内において、毎期均等に減価償却費を計上していく方法です。定額法を利用して減価償却費を計上する場合の具体的な計算方法は、「車の取得価額×定額法の償却率」となります。

ただし、その事業年度の中途において車を購入した場合など、1年間にわたって使用していない場合には月数按分により、「車の取得価額×定額法償却率×車を使用した月数÷事業年度の月数」で計算されます。

定率法

「定率法」とは、取得した資産の未償却残高に、一定の償却率を乗じて毎期減価償却費を計上していく方法です。定率法を利用して減価償却費を計上する場合の具体的な計算方法は、初年度の場合、「車の取得価額×定率法の償却率×車を使用した月数÷事業年度の月数」、そして2年目以降は「(車の取得価額−減価償却累計額)×定率法の償却率×車を使用した月数÷事業年度の月数」となります。定率法はその計算方法から、償却期間の早い時期ほど減価償却費が高くなるという特徴があります。

リース期間定額法

「リース期間定額法」は、カーリースを行った時に用いる減価償却費の計算方法です。リース期間定額法を利用して減価償却費を計上する場合の計算方法は、「車のリース費用の総額×車を使用した月数÷リース期間の月数」となります。

なお、リース期間が1年以内であるものや、リース料の総額が300万円以下である場合などは、減価償却の対象にはならず、リース費用を一括でその事業年度の経費として計上することになります。

新車と中古車の減価償却の違い

新車を入手した場合と中古車を入手した場合では、減価償却費の計上においてどのような違いが現れるのでしょうか。ここからは、その計算方法の違いについて解説します。

新車の減価償却

既に解説した通り、個人事業者の方や法人が車などの固定資産を取得した場合、その固定資産の購入にかかった費用(取得価額)は一括で費用として計上されません。毎期「減価償却費」を計算して、その固定資産の「法定耐用年数」にわたって按分し、費用計上していくことになります。

固定資産の法定耐用年数は国税庁によって定められており、新車と中古車では期間が異なります。一般的な新車(普通自動車)の場合、その法定耐用年数は「6年」です。

中古車の減価償却

個人事業者の方や法人が中古車を取得した場合も、固定資産の取得となるため、その購入にかかった費用は一括で費用として計上されず、減価償却により毎期の費用を計上していくことになります。ただし、中古で取得した固定資産の法定耐用年数は、新車の場合よりも短くなることが多いです。したがって、1年あたりに経費として計上する金額が大きくなります。

車両の耐用年数

新車を購入した場合の法定耐用年数は、前述の通り、普通自動車が「6年」で、軽自動車が「4年」です。そして、中古車を取得した場合、その法定耐用年数は次の計算方法によって算出されます。

・入手した中古車が、既にその法定耐用年数の期間を過ぎて利用されている場合
その中古車の法定耐用年数の20%に相当する年数(法定耐用年数×20%)

・入手した中古車が、法定耐用年数の期間内で利用されている場合
(その中古車の法定耐用年数から利用した年数を差し引いた年数)+(その中古車を利用した年数×20%)

なお、いずれの場合も端数は切り捨てとなります。また、計算結果が2年未満になってしまう場合は、法定耐用年数を「2年」とみなし、減価償却費を算出します。

新車と中古車はどっちがお得?

では、個人事業者や法人のお客様が事業で用いる車を選ぶ時、新車と中古車のどちらを選ぶかによって納税面などで有利・不利が現れることはあるのでしょうか。ここからは、購入時に参照できるよう、具体的な例を出しながら説明していきます。

新車の場合

まず、新車を購入した場合の減価償却の具体的な事例について見ていきましょう。

(例) 300万円の新車を購入して、定額法で減価償却した時の減価償却費
300万円×0.167(耐用年数6年)×12/12=501,000円

(例) 250万円の新車を購入して3ヶ月利用し、定額法で減価償却した時の減価償却費
250万円×0.167×3/12=104.,375円

(例) 300万円の新車を購入して、定率法で減価償却した時の減価償却費
300万円×0.333(耐用年数6年)×12/12=999,000円

(例) 250万円の新車を購入して3ヶ月利用し、定率法で減価償却した時の減価償却費
250万円×0.333×3/12=208,125円

毎期均等に費用を按分する定額法に比べて、毎期一定の償却率を乗じる定率法の方が、初年度に計上される費用が割高になることがわかります。

中古車の場合

次に、中古車の具体例を見ていきましょう。

(例)耐用年数が4年の中古車を300万円で購入して、定額法で減価償却した場合の減価償却費
300万円×0.250×12/12=750,000円

(例)耐用年数が2年の中古車を250万円で購入し、定率法で減価償却した場合の減価償却費
250万円×1.000×12/12=2,500,000円

中古車は新車よりも耐用年数が短いため、同じ金額で車を入手すると仮定した場合には、早期に費用として計上できる額が新車に比べて多くなります。また、耐用年数が2年だと、定率法の償却率は「1.000」であるため、その中古車を入手した事業年度に、全額費用を計上できることになります。

車を経費計上する際の注意点

ここからは、車を経費計上する際の注意点を紹介します。実際に、事業用として車を購入する場合は、「車種」と「タイミング」に気をつけましょう。

購入する車種に注意

一概には言えませんが、あまり趣味性・嗜好性が高い車は税務調査の際に税務署から指摘が入るなど、会計・税務処理上の問題が指摘されたという話もよく耳にします。これらの車を社用車として利用する場合、入手した車が事業にどのように供されて役立てられているかといった業務上の必要性や、業務とプライベートにおいてそれぞれどの割合で用いられているかといったデータを、あらかじめ明確にしておくことが大切です。

タイミングも重要

減価償却費の計算方法で紹介した通り、購入した車の減価償却費用は月割で計算されます。したがって、初年度からフルに減価償却費を計上したいと考えた場合は、その事業年度の最初の月に車を入手する必要があります。

カーリースなら全額経費が可能に

カーリースの場合は、車の所有者はリース会社であり、契約者はあくまでも車を借りていることになります。したがって車の所有権は移らず、契約者は固定資産として計上する必要もありません。リース会社との契約に基づいて支払う毎月のリース費用を、全額その事業年度の経費として計上することになるため、複雑な減価償却費の計算をする手間が省けます。自分の車を持つということにこだわりがなければ、カーリースは社有車を入手する手段としておすすめの方法と言えるでしょう。

※契約内容や会社の規模によっては、カーリースの場合も資産計上が必要な場合があります。あらかじめ貴社担当の税理士へご相談ください。

《解説》高崎文秀税理士事務所 代表税理士 高崎 文秀 https://ft-taxacc.com/

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